4.6.2015

大学関連の書類も一段落し、必須のドイツ語の試験も土曜日に終わってほっと一息、
先週末から宝塚で月組、宙組と通算13年間もお世話になった先輩がベルリンにいらしていました。
越はるきさんこと岩田ゆう子さんは、退団後にロンドンに留学されて、今では舞台美術と衣装のデザイナーになっていらっしゃいます。
宝塚の大先輩のお嬢さん、庭山由佳さんがベルリンでドラマトゥクの研修をしたいらっしゃるので、庭山さんにセレクトをお願いして、岩田さんこと「パルキさん」と、劇場巡りをしました。
1夜目は、ナチョ・ドゥアトに引き継がれたベルリン国立バレエの新作、DUATO | KIRIANを観ました。
個人的には、キリアンさんの作品の方がセット、音楽、照明、衣装、振付けの総合効果が鮮やかで、ダンサーが振付け以上の表現をのびのびとしているのが感じられて面白かったのですが、ドゥアトさんの作品でも、ダンサーの深い想いが感じられる美しい瞬間がいくつかありました。
VIDEO LINK DUATO| Kirian

2夜目は庭山さんが研修中のドイツ座の十二夜
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3夜めは間もなく涼風真世さんが日本で主演される作品「貴婦人の訪問(ベルリン/ドイツ座)」を、これもドイツ座で、バスチャン・クラフトさん演出にて。
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そして昨夜は、ベルリナー・アンサンブルにて、ヒットラーがヒットラーとなるまでを題材とした作品、アルトロ・ウィの抑え得た興隆 Der aufhaltsame Aufstieg des Arturo Uiを観てきました。
VIDEO LINK 4.6.15
奇しくも、ハイナー・ミュラー演出初演20周年記念公演で、初演から主演されているマーティン・ヴゥトケさんの熱演振り、そしてお客さんの熱気に、全席完売、3階の立ち見で、私のドイツ語力では大変難しい作品だったのですが、とても感動しました。

エンターテイメントから来た私は、演劇は時代を反映しているという事を殆ど感じずに育ってきました。むしろ、日常を忘れ、ひと時の夢の世界を楽しんで頂く、そんな想いを持っていた様に思います。けれど、タンツテアターの世界を知ってベルリンに来て、そしてベルリンで演劇を見る様になって、演劇(そしてダンスや音楽も)が、どんなに時代と繋がってきたか、また今も繋がっているか、そしてここの観客がそれを受け止め支えて来たかを目の当たりにするごとに、大げさですが、『この時代に今生きていてよかったな』ぐらいの感激を覚えます。
ドイツ座の2作品で感じた事は、古典から近代の作品まで、演出家にもセットや衣装デザイナー、演者にも、解釈の自由が与えられているという事でした。
当時の時代考証に忠実な衣装やセットで、なれない現代人の演者の動きをわざわざ縛ることもありません。奇をてらって斬新、という方向性では無いのですが、「○○とは、○○であるべきである」という何かを継続的に破壊して、戯曲を通じて、今生きる自分たちに取っての真実を追究する様な、そんな印象を今回も受けました。

在団していた時間より、退団してからの時間の方が長くなってしまいましたが、
お会いしなかった時間を飛び越えて、パルキさんと舞台の話を延々と出来て本当に楽しい一週間でした。